インターネットマーケティングに携わる方は、「コンテンツマーケティング」という言葉を最近よく耳にするのではないでしょうか。日本では、2013年が“コンテンツマーケティング元年”と呼ばれ、コンテンツマーケティングに注力する企業も急激に増加しています。
今回はコンテンツマーケティングの基本の部分を中心に「コンテンツマーケティングって何だろう?」という方にもお分かりいただけるように、そして既にコンテンツマーケティングに取り組んでいらっしゃる方や、導入を検討している方、ブロガーの方にも、基本を振り返っていただけるようにお話いたします。
企業のメディア化が進む背景とは
(参照:http://www.coca-colacompany.com/)
2013年、コカ・コーラ社が「Content 2020」を掲げ、コンテンツマーケティングをマーケティングの主軸とすることを発表しました。その施策の中心となる自社メディア「Coca Cola Journey」(アメリカ版 ・日本版 )をオープンし、コーポレートサイトをこのメディアに移行すると発表しています。
日本版とアメリカ版で若干コンテンツの系統が異なりますが、どちらも新聞や雑誌のように、読み物を中心に構成されています。コカ・コーラについて知ってもらう目的の読み物が多く、世界中にブランドのファンが多い同社だからこそできる大胆な手段とも言えます。
逆に、自社の情報を出すのではなく、あくまで中立的な立場のメディアとして運営し、潜在顧客を抱え込むという手法もあります。例えば、三越伊勢丹ホールディングスとインターネットメディア企業のイードが共同で運営する「FASHION HEADLINE」
このように、各社が媒体費を払う広告出稿や、情報を渡して記事化してもらう広報活動の他に、自社でのメディア運営に注力している背景とは何なのでしょうか。
SNS時代のコミュニケーションのあり方
一つには、SNSが浸透してきたということが挙げられます。近年アメリカを中心に、SNSの拡散で集客をするバイラルメディアが盛り上がりをみせ、日本でも2013年の年末から短期間に多数のバイラルメディアが立ち上げられています。
(※参考:乱立する国内バイラルメディアをまとめてみたーー35のメディア紹介 )
マスメディアでのマーケティングでは、TVCMのような形で、媒体に広告費を支払い、伝えたいメッセージを伝える、という方法が一般的でした。また、メディアのファンに自然に情報を伝えるために、広報・PRという形で企業の情報をメディアの裁量で扱ってもらう、という手法も取られています。
しかし、インターネット、SNSが浸透してきたことにより、ユーザーの生活に入り込み、「面白い」「役に立つ」と思ってもらえることによってユーザーとのコミュニケーションが生まれるようになり、新たな可能性が広がりました。
例えば、ユニリーバ社のDove「Real Beauty Sketches 」は、YouTubeにアップしたキャンペーン動画が共感を呼んで世界中に拡散し、3日で250万回以上再生され、最終的に6,000万回以上の再生数となっています。
広告との違いは、キャンペーンの動画制作にはコストをかけているものの、アップ先はYouTubeということで、媒体費用をかけていないということです。超有名企業の大プロジェクトの一部ということもありますが、コンテンツの力によってSNSで拡散し、世界中に波及しました。
さて、これまでは世界中で有名なメガ企業の事例をご紹介しました。
確かに企業のブランド力が強かったり、大規模なプロモーションをうてたり、ブランドにファンが多かったりということは、コンテンツマーケティングに活かしやすいといえます。
ただ、それだけではなく、コンテンツマーケティングは広告や広報に並ぶ、重要なマーケティング手段として活用されています。
広告・広報とコンテンツマーケティング
他のマーケティング手法と比べた場合に、コンテンツマーケティングにはどういった特徴があるのでしょうか。広告、広報、コンテンツマーケティングの特徴を表にまとめました。
まず広告ですが、ここではTVCMなどマスメディアへの出稿から、WEB媒体への純広告出稿などを想定しています。予算をかけて広く出稿すれば、広く拡散させることも出来ますし、伝えたいメッセージをクリエイティブに盛り込むことが可能です。ただ、広告は企業からユーザーへの一方通行の情報訴求になるので、継続力はあまり期待できません。
広報ですと、企業のメッセージを媒体に伝えたとしても、最終的には媒体の裁量で記事化されるため、伝えたい内容をしっかり伝えるためのコントロールが難しいのですが、商品発売のタイミングに合わせてイベントなどの施策を打つことで一気に話題化を狙うことができます。ただしこちらも、一過性の効果となってしまう場合が多いです。
どちらの施策を打つにしても、継続的にユーザーをつなぎとめたければ、メールマガジンや会員登録など、自社のコンテンツを発信して、繋ぎ止めることが必要です。バリューのある媒体に掲載して話題を拡散させたり、たくさんの人の目に触れることはできても、継続的にユーザーと関係を築くためには、どうしても自社のコンテンツが必要なのです。
コンテンツマーケティングでは、自社の媒体での情報発信を通して、SEOやソーシャルブックマーク、SNSでの拡散によりユーザーを集め、メールマガジンやFacebookページ、RSS購読などで継続的にファンになってもらうまでを総合的に行うことが出来ます。
ただし、SEOの効果が出るまでには、通常メディアの立ち上げから2、3ヶ月ほどかかりますし、コンテンツを制作するためには予算も必要です。続ければ続けるほど効果が見込める方法ですので、じっくりと取り組むことが必要です。
コンテンツマーケティングとSEO
SEOは、コンテンツマーケティングに取り組むときに最も重要な部分と言っても過言ではありません。既に自社サイトや自社商品のサイトを運営している方ならお分かりかも知れませんが、企業名や商品名で検索をすると、多くの場合は自社のサイトが検索上位に表示され、検索からの流入も一定数あるのではないでしょうか。
商品名、企業名で検索して流入してくるユーザーは、既に商品や企業について知っていて、興味がある“顕在層”のユーザーです。
しかし、一方では、その商品へのニーズがあっても、商品や企業の存在を知らない、または思い出せないために、検索で企業のサイトにたどり着かないユーザーがいます。彼らを“潜在層”と呼びましょう。図にすると下のような形です。
潜在層のユーザーが検索するキーワードは「ダイエット茶」「便秘 ニキビ」など、商品名とは直結しないキーワードではありますが、こういったキーワードで検索するユーザーは間違いなく商品のターゲットになります。
このように、潜在層が検索するキーワードへのSEO対策が出来るというのもコンテンツマーケティングの特徴です。検索ボリュームの多いキーワードでダイエットに関するコラムを掲載し、ダイエットに関するキーワードで検索上位を目指します。そこで、ダイエットに興味があるけれども便秘や商品について知らないユーザーにダイエットと便秘の関係、商品名を訴求することで、最終的には購入に繋げることを目指します。
購入数を稼ぐことだけを目的にするのであれば、アフィリエイト広告やリスティング広告など、広告の手法で次々と購入に流す、という手法もあります。
しかし、ニーズを持ったユーザーを集めて「役に立つ」「楽しい」と思われるような質の高いコンテンツ力でまずメディアのファンになってもらうこと。そして時間をかけて、じっくりと自社の商品のファンにもなってもらうこと。それがコンテンツマーケティングの得意とする部分であり、インターネットやSNSが力を持つ時代に注目されている理由の一つです。
いかがでしたか?コンテンツマーケティングとは何か、少し見えてきましたでしょうか。
次回は、コンテンツマーケティングでの集客について、詳しくご紹介します。
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